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「そろそろ、鉛筆を持たせてみようかな」
「でも、持ち方ってどう教えればいいんだろう…」
お絵かきが好きになってきた子どもを見て、そんなふうに思ったことはありませんか?
まだ小さいし、楽しく書ければそれでいい。
持ち方は、小学校に入ってから直せばいい。
そう思うのも、自然なことです。
でも、元小学校教員として、たくさんの子どもたちの鉛筆の持ち方を見てきた私は、ひとつだけお伝えしたいことがあります。
鉛筆の持ち方は、「直す」より「最初に作る」方が、ずっとラクです。
この記事では、これから鉛筆を持ち始める幼児期のお子さんに向けて、「最初の1年」をどう過ごせばいいかをお話しします。
※持ち方がすでに崩れてしまって悩んでいる方は、こちらの記事もどうぞ👇

鉛筆の持ち方は「フォーム」である
佐藤亮子さんの本で出会った「バイオリン」のたとえ
4人のお子さんを東大理Ⅲに合格させたことで知られる佐藤亮子さん。
その著書『3歳までに絶対やるべき幼児教育』の中に、鉛筆の持ち方についての話があります。
佐藤さんのご家庭では、4人のお子さん全員がバイオリンを習っていたそうです。
バイオリンは、正しいフォームで弾かないといい音が出ません。
鉛筆も同じ。
正しく持てていないと、大きな字、小さな字、ゆっくり書く、速く書く…といった、いろいろな書き方に対応できない。
佐藤さんは、そう書いています。
私はこれを読んで、私も納得しました。
指導現場で見てきた「持ち方の壁」
小学校で文字指導をしていると、学年が上がるにつれて、こんな声を聞くようになります。
- 「たくさん書くと、手が痛くなる」
- 「マスの中に字が収まらない」
- 「速く書こうとすると、字がくずれる」
その多くは、字の練習が足りないからではありません。
持ち方というフォームが、書く量やスピードに追いつかなくなっているんです。
高学年になってくると、ノートを書く量も増えてきます。正しい持ち方でないと、
文字が崩れてしまったり、
すぐに疲れてしまったりします。
そして、何年も続けてきた持ち方を変えるのは、子どもにとって本当に大変なことです。
手が覚えてしまった動きを、一度忘れて覚え直す作業になるからです。
「後で直せばいい」の”後”は、子どもにとっていちばん苦しい時期かもしれません。
最初の持ち方が崩れてしまう3つの原因
幼児期に持ち方が崩れてしまうのには、はっきりした原因があります。
これまでの指導経験から、大きく3つにまとめました。
① 道具が子どもの手に合っていない
いちばん見落とされがちなのが、これです。
大人用の細くて長い鉛筆は、小さな手には重く、持ちにくいもの。
持ちにくい道具を使うと、子どもは自分なりに”持ちやすい形”を探します。
それが、グーで握る持ち方や、指が重なる持ち方につながります。
佐藤さんも、姿勢や持ち方をいくら言っても、道具が本人の体に合っていなければできないと書いています。
これは、指導現場の実感とも一致します。
持ち方の問題は、子どもの問題ではなく、道具の問題であることが多いんです。
うちの息子は3歳で、「くもんのもちかたえんぴつ」を使わせています。
三角形の鉛筆は持ちやすく、太いので安定して書くことができるようで、筆圧が濃くなりはっきりした線が書けるようになりました。
② 大人が見ていないところで、自己流が固まる
鉛筆を持ち始めたばかりの時期は、毎日が”持ち方の練習”です。
その時期に、大人の見ていないところでたくさん書くと、自己流の持ち方がどんどん手に染み込んでいきます。
気づいたときには、もうその形が「当たり前」になっているんです。
なので、うちではなるべく私の前で書かせるようにしています。
最初の1年は、書いた量より「どう持って書いたか」がすべてです。
③ 大人自身の持ち方が見本になっていない
子どもは、大人のまねをして育ちます。
一緒に絵を描いているとき。
食卓でお箸を使っているとき。
子どもは、大人の手元をじっと見ています。
佐藤さんは、子どもにお箸の持ち方を教える前に、まずご自身の持ち方が正しいかを確かめたそうです。
正しい持ち方を指導している団体の資料を取り寄せたり、矯正用の道具を自分で試したりしたと書いています。
私はこれを読んで、ドキッとしました。
「私自身の持ち方、本当に大丈夫かな?」と。
子どもの手元は、大人の手元を映す鏡です。
最初の1年でやっておきたい4つのこと
では、これから鉛筆を持ち始める子に、どんな準備をしてあげればいいのでしょうか。
① 手のサイズに合った鉛筆を用意する
幼児期には、太くて、短くて、芯のやわらかい鉛筆がおすすめです。
- 太い軸:小さな手でも安定して持てる
- 短い長さ:鉛筆の重さに振り回されにくい
- やわらかい芯(6B〜2Bなど):弱い力でも線が書けるので、ぎゅっと握りしめずにすむ
佐藤さんのご家庭では、幼児用の太い鉛筆をさらに半分に切って、1歳の子の手に合う長さにしていたそうです。
「売っているものをそのまま使う」のではなく、「子どもの手に合わせる」という発想。
ここに大事なヒントがあると思います。
また、正しく指を置く位置がわかる補助具を使うのも、ひとつの方法です。
佐藤さんは、付け替えの手間をなくすために、家じゅうの鉛筆すべてに補助具をつけていたそうです。
「どの鉛筆を手に取っても、正しく持てる」環境をつくる。
これなら、忙しい毎日でも無理なく続けられますね。
※小さな子が鉛筆を使うときは、先端でけがをしないよう、必ず大人のそばで使わせてあげてください。
② 「鉛筆は大人がいるときだけ」と決める
最初の1年は、”見守り期間”と考えてみてください。
佐藤さんも、最初の1年は目を離さず、持ち方にこだわってほしいと書いています。
とはいえ、ずっと横についているのは難しいですよね。
わかります。
だからこそ、「鉛筆を使うのは、大人が一緒にいるときだけ」とルールを決めてしまうのがおすすめです。
1日5分でも、大人の目がある時間に書く。
それだけで、自己流が固まるのを防げます。
うちでは、エジソンの箸を使い始めてから、鉛筆の持ち方も正しくなりました。
エジソンの箸には、矯正器具がついていて、正しい持ち方でないと持つことが難しいです。
うちでは、そこまで矯正することなく、正しい持ち方をしていることが多かったので、
たくさん褒めました!
③ まず大人が自分の持ち方をチェックする
子どもに教える前に、ぜひ一度、ご自身の持ち方を見直してみてください。
- 鉛筆を持つとき、人さし指と親指で軽くつまめているか
- 中指が下から支えているか
- 指先に力が入りすぎていないか
お箸も同じです。
スマホで自分の手元を撮ってみると、意外な発見があるかもしれません。
私は、長年正しい持ち方ができているという自信があったのですが、
書くときに力が入ってしまい、少し持ち方が違うことがわかりました。
矯正してからは、自信をもって見せることができます。(たまに前の持ち方に戻ってしまうので、気をつけています。)
大人が自信を持って見本を見せられると、子どもへの声かけもぶれなくなります。
④ お箸の持ち方とセットで考える
実は、鉛筆とお箸の持ち方は、とても似ています。
お箸の上の1本の持ち方は、鉛筆の持ち方とほぼ同じなんです。
だから、お箸を練習すると、鉛筆を持つための指の動きも育ちます。
逆に、鉛筆で正しい持ち方ができると、お箸も上手になりやすい。
佐藤さんのご家庭では、お箸だけでなく、食事中の姿勢や食べ方などのテーブルマナーまで、細かく教えていたそうです。
毎日3回の食事は、いちばん身近な「持ち方の練習時間」です。
今日からできる3つのアクション
「大事なのはわかったけど、何から始めよう?」
という方のために、今日からできることをまとめました。
✔ お子さんが今使っている鉛筆やクレヨンを、手に取ってみる
太さや長さは、お子さんの手に合っていますか?
合っていなければ、太くて短いものに替えるだけでも変わります。
✔ 自分の鉛筆とお箸の持ち方を、スマホで撮ってみる
まずは大人が自分の手元を知ること。
これがいちばんの近道です。
✔ 「鉛筆は一緒にいるときに使おうね」と約束する
ほんの5分でも大丈夫。
大人の目がある時間に、楽しく書く習慣をつくりましょう。
まとめ|持ち方は、一生の財産になる
- 鉛筆の持ち方は、バイオリンと同じ「フォーム」
- 「後で直す」より「最初に作る」方が、子どもにとってずっとラク
- 持ち方が崩れる原因は、道具・見守り・大人の見本の3つ
- 最初の1年は、手に合った道具を用意して、大人がそばで見守る
- お箸の練習は、鉛筆の持ち方にもつながる
佐藤さんは、鉛筆とお箸と食べ方は、母親である自分がしつけなければ、ほかに細かく教えてくれる人はいない…という思いで、お子さんたちに言い続けたそうです。
厳しく聞こえるかもしれません。
でも、その根っこにあるのは、「この子が一生困らないように」という愛情なのだと思います。
正しい持ち方は、字を書くたび、ごはんを食べるたびに、子どもを助けてくれる一生の財産です。
完璧でなくて大丈夫。
今日、お子さんと一緒に鉛筆を持つ5分間から、始めてみませんか?
毎日の子育て、本当にお疲れさまです。
あなたが手元を見守るその時間は、きっとお子さんの未来につながっています。
大人も楽しみながら、一緒に子育てがんばりましょう♪
参考文献
佐藤亮子『3歳までに絶対やるべき幼児教育』【東洋経済新報社】

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